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Swins様 「時間をこえて響く童謡コンサート」A4フライヤー

2015年 6月作成 /Swins様 「時間をこえて響く童謡コンサート」A4フライヤー
担当 / Eiko Goto

デザイナーとは何か?
そう聞かれたなら私は「女優です」と答える。
しかし、あくまでも、それは私の感覚の話。
なぜそう思うかというと、女優さんが役になりきるようにデザイナーもそのイメージを作りあげる=役になりきると
私は常日頃からそう思っているからだ。それは若い時から今にいたっても変わらない。

先日、10年以上前に派遣先のお仕事でお世話になっていた方から久々に連絡があった。
彼女は現在、Swinsという童謡歌唱のコーラスグループで活躍されている上永靖代さん。
今度出演するコンサートのチラシやチケットをデザインして欲しいという依頼だった。

聞けば、Swinsは4名からなる女性のコーラスグループで各コンクールで数々の最優秀賞を受賞、素晴らしい功績を残されている。そんな彼女たちが来る9月12日に戸畑市民会館大ホールで童謡コンサートを開くということだった。
そんな大きなコンサートの宣伝デザインの担当を私にご依頼頂いたのはとても嬉しかった。
しかし、私のデザインは子ども受けするようなデザインイメージではないし、彼女の周りにはたくさんのデザイナーさんが存在する。時や距離を隔てて依頼されたのはなぜ私なのだろう。

上永さんは当時、全国の支店をもつ食品会社の企画室でデザイナーと各店長などを繋ぐマネージャー的な存在だった。熱意が人一倍で常に冷静で痒いところに手がとどくような配慮をしてくれるような方で私は彼女とお仕事をするのが好きだった。現在は彼女とはSNSのおかげでプライベートでは常に互いに存在感はあるものの、仕事上での密なやりとりはは10年以上ぶり。だから、彼女と仕事をするのはとても懐かしく感じた。それはまるでこのコンサートのタイトルのごとく「時間をこえて響くデザイン制作」と言っても過言でなかった。

私はまず、コンサートで歌われる曲名や歌詞、その彼女が所属するグループの強い思いやコンサートに願う意図を尋ねた。
すると彼女はすぐに、かなり丁寧な長文でしっかりとイメージを伝えてきた。
要望は簡潔にまとめてあり、童謡や唱歌のなつかしさなどが出るようなイメージ写真やイラストということと、お年寄りもいるので字が大きいこと、駅や待合室などのラックに並んでいてもぱっと目がいくようなデザインを希望とのことだった。そしてさらに「子供だけとか、お年寄りだけの音楽ではないので、五島さんが童謡唱歌のコーラスグループということにかけ離れず、何かアイディアがあれば、ぜひ提案してください!」と言われた。

私はメールを何度も読み返した、彼女達が歌っている曲をダウンロードして聞いてみた。
すると、とっても澄んだ歌声が響いてきた。童謡、懐かしさ、澄んだ歌声、子どもに特化せず、大人も振り向かせるデザイン・・・
私の頭をぐるぐると回る。しかし、それがなかなかデザインに結びつかなかった。あと一歩というところ。
しばらく考えた後、浮かばないので夕方、諦めて気晴らしに散歩をしている時に美しい空を見あげてふとアイデアが浮かんだ。

【デザインコンセプト】
夕焼けと影絵。ノスタルジック。子どもに戻るような気持ちの大人達。
土手沿いを歩く人や自転車、いわゆる帰り道。
子どもにかぎらず、大人が懐かしさを思い出す懐かしいあのワンシーン

これしかない!そう思った。しかし、私のデザイン・スタイルは相手があってこそ。依頼者の気持ちとひとつにならなければいいものは出来ない。そこで、上永さんに私のデザインイメージを相談させてもらうと即OKが出た!これで依頼側とデザイナーの二人のイメージが繋がった。

問題はここからだった。イメージ画像は素材集や素材サイトで探すことも出来るし合成加工は私がもっとも得意とするところ。しかし、私は今回はあえて撮影することを望んだ。何故ならばリアルでオリジナル感が欲しかったからだ。

まずは撮影地。私は今、カメラマンもしているので撮影仲間たちに夕陽が美しく、土手や田畑がある場所を尋ねた。

場所は教えてもらったがそれはここからずっと西。移動手段が自転車の私には遠すぎる。それでも1日目は田畑や土手を目指し西へ向かったが時間的に間に合わず、海沿いの夕陽をパシャリ。それはそれですごく美しいのだが何か違う。かっこ良くてはダメなのだ。どっか懐かしいような鈍くさいような優しいようなそんな画が欲しかった。

そこで、そんな画も撮れる素敵なセンスをお持ちのカメラマン UG photograph のタナカユウジさんにデザインのイメージをしっかり伝え、それに合う素材となる写真をお願いした。欠かせないのは土手、夕焼け、人。これは必須だった。そこで次に頭を悩ませたのが撮影地。私とカメラマンさんの二人だけでは情報が足りない。すると神が降りたのか、願いが通じたのか撮影地に詳しいもう一人の撮影仲間のKさんから撮影当日の朝に連絡があり、夕焼けは撮れましたか?案内しますよと言ってきてくれた。

ああ、持つべきものは友。協力して下さる仲間がいるって本当にありがたい。その日の夕方、目指すは夕陽バックの土手沿いのシルエット。そのイメージをKさんい伝えると首をかしげられ、この辺りは土手があるような大きな川がないということ。じゃあ、海岸沿いでのいいのでは?と皆は言ったが

「絶対にダメです、土手です。もしくは草原じゃないとダメ、草や木が欲しいのです。土手がないときはローアングルで這いつくばって土手風に見せて撮って下さい。」とカメラマンさんに懇願する素晴らしいわがままぶりを発揮。それで彼らはなんとか土手風に見える場所を見つけ、念願の土手風アングルでシルエット撮影に成功した。
人数も偶数よりも奇数の方がイメージだったのでカメラマンさん自身も参加してもらい、タイミング良い所でリモートで撮影。
まあ、何枚もシャッターを切った中ではかなり遊んだものもあり・・・

こんなのとか(撮影/タナカユウジさん モデル/私とKさん)

もしくはこんなとか(モデル/ユウジさんとKさん)

こんなことで遊びながら日が暮れていくのを待った。

そしてたくさんある中で一番イメージだったのがタナカユウジさんが撮られたこの1枚。
素晴らしい、色合いもシルエットもイメージどおり!まさに子どもに返った大人たち。

こうして写真が決まり、ポスターに起用。
が、さすが上永さん、細かいところまでチェック。侮れない。
「一人だけファンキーな髪型のコがいてそれどうにかなりませんか?」
「すみません、それ、わたしなんです」

というと、びっくりされて「えー!!みんあ中学生位の知らない方かと思ってました。
わざわざ、撮影してくれたんですね、ありがとうございます!!と言われた。
そして、お団子は加工して下に。なんとか落ち着いた。
しかし、これだけではまだイメージに足りないのでさらに影絵っぽく加工、以前別撮りした木のシルエットそして、自転車の素材を引っ張ってきて合成など施し、デザインをお見せすると気に入って貰えたのでA4両面フライヤー、A2ポスター、チケット二種は完成した。

そしてその後。上永さんからなぜ私にご依頼頂いたのか謎だったが、彼女は自分からこう言い出した。
「私の周りには誰に頼んでもおかしくないほど、親しいプロのデザイナーが他にもたくさんいるんです。 みなさん、素晴らしいデザイナーさんだと信頼していますし、どなたに頼むべきか正直ちょっと悩みました。

五島さんにお願いしたのは、写真をつかったデザインにしたかったので、五島さんのFBでみる写真がいつもステキだし、写真の加工?がお得意というイメージがあったのと、大人っぽいデザインにしたかったこと、(略) 結果、頼んでよかったです。こちらもやりやすかったですし…。
五島さんの写真は、こころを打ちます。ただ、被写体がきれい、アングルがいい、色がきれい、ってだけじゃない何かをいつも感じます。カメラが良くなって誰でもある程度の写真が撮れるようになった今、「思いを感じる写真」が撮れる五島さんは本当にステキだと思います! 結局は、「人」なんですよね。(ストンと腑に落ちました) 歌もそうだと思います。」
最終的には「人」、これはとってもありがたい言葉だった。
私が依頼人の思いを汲み取ろうとしていただけではなく、依頼側にも私の思いが通じている。これは嬉しい事。

まあ、私のイメージは大人っぽいものと思われて頂いていたようだが、基本は「女優」なんでなんにでもなりきるつもりだけど写真はそうじゃない、好みが出ているのか。イメージの大事さを改めて知った。でも私は、それをうまい意味で裏切りたい。これからもいろんなデザインとの出会い、人との出会いを大事にしようと思う。

最後になりましたが、上永さん、こちらが納得がいく修正についての説得力、素晴らしくわかりやすい説明のおかげで出来上がりました。制作に携わり、楽しかったです。ご依頼をありがとうございました。

そして協力してくれたカメラマンのタナカユウジさんとKさん、あなた方二人の協力がなければ今回はこのデザインに出会えませんでした。本当にありがとうございました。

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